2020年9月24日
木のぬくもりがある遊具、アスレチックみたいなわくわくする木製遊具はあこがれますよね。
せっかく作るのなら、できるだけ長く使えて、たくさん遊びたいな~と考えてしまいます。
しかし木は腐る。そりゃそうです。
それでは、なぜ木は腐るのでしょうか?
そして、屋外でも腐りにくい木はあるのでしょうか?
まず、木が腐るのは、「木材腐朽菌」(もくざいふきゅうきん)という菌が悪さをするためです。
森の中にいるときには、木を分解して自然に戻してくれる良いやつ。
ですが、人間が木を利用するときには少し厄介です。
この「木材腐朽菌」は生き物ですので生きていくためには酸素・水・温度・栄養が必要です。
この4つのうち、ひとつでも欠けていたら木は腐りません。
さあ、木vs木材腐朽菌の戦いがはじまります。
第1回戦:酸素
酸素は、そのまま木材腐朽菌が呼吸するために使います。
けれど、人間が生活している地上では、酸素を消すことはできません。
水中や土中では酸素が少ないため木材腐朽菌は生きにくいのですが、遊具を水中や土中に置くこともできませんので、第一回戦は負けとなります。
第2回戦:水
水とは、水分、湿気のことです。
木には調湿作用というものがあり、雨にさらされた後も自分で水分を抜くことができます。
水が少なくなるので木材腐朽菌が育ちにくく、腐りにくい木となります。
しかし、水分を抜くにも時間がかかります。梅雨などの雨が降る続く時期には十分に水分を抜くことができずに、木材腐朽菌が繁殖しやすくなってしまいます。
木の持つ特性によって善戦しますが、木材腐朽菌も手ごわいので引き分けとなります。
第3回戦:温度
温度とは木材腐朽菌が好む温度のことで、20度~30度といわれていますが、低温や高温でも少しずつ成長できます。
しかし、屋外に置いた遊具の温度をコントロールすることは難しいため、ここは諦めるしかないようです。
地面を土にしたり、屋根を付けたりという方法もありますが、一年中変化する温度には勝てません。
第4回戦:栄養
栄養とは、リグニン、セルロース、ヘミセルロースなどの木材腐朽菌が食べる食事のことです。
生きている木の場合は自分が育つために栄養を使うため、木材腐朽菌が食べる分の栄養は残りません。
木を切り出した後は、木は成長しないので栄養がたくさん余り、そこに木材腐朽菌が取り付きます。
木に取り付いた木材腐朽菌を完全に殺菌することは不可能ですが、菌が苦手とする木材を使ったり、薬剤を使う方法があります。
その①栄養のない部分を使う
木には「心材」(しんざい)と「辺材」(へんざい)という部分があります。
木は、体の外側に年輪を作りながら成長していきますので、中心部になるほど古い細胞になっていきます。
辺材は、写真でいうと外側の白い部分です。
ここは今成長している最中ですので、新しい細胞がたくさんあります。
若い細胞のほうが新鮮で柔らかいため、木材腐朽菌にとっても美味しいのでしょう。
キャベツだって、買ってから2週間経ったものよりも、買ってすぐのほうが新鮮で美味しいですから。
心材は、写真の真ん中の赤い部分です。
中心にある心材は古い細胞のため栄養が少なく、木材腐朽菌も食べようとしません。
この心材の部分を使うことで、木材腐朽菌の被害を減らすことができます。
その②食事をまずくする
栄養自体を美味しくないものにすることで、木材腐朽菌が寄り付かないようにする薬剤があります。
「防腐防蟻加圧注入剤」という名前で、ついでにシロアリも防いでくれます。
加圧注入とは、巨大な圧力なべの中に木を入れて、圧力をかけて液体を染み込ませるようなイメージです。
「心材」と「防腐防蟻加圧注入剤」、このふたつの方法のどちらかを使うことで、木材腐朽菌に勝つことができます。
そして結果は1勝2敗1分けで、総合的には木は負けとなってしまいました。
しかし、4戦中1勝でもすれば木材腐朽菌は繁殖しにくくなるので、木の勝ちともいえます。
ちなみに、木薫では屋外の木製遊具に「防腐防蟻加圧注入剤」を使用しています。
一部の板材には心材を選び、腐りにくく、長く遊べる木の遊具を目指しています。
もし腐ってきてしまったら、木の遊具は部品の交換ができます。
遊具のデザインは、園の特色や園庭の広さに合わせてオーダーメイド品をご提案いたします。
腐りやシロアリ害に強い、わくわくする木製遊具を一緒に作ってみませんか?