2021年4月9日
木薫が大切にしているのは、
・森を守って育てること
・子どもたちに森を伝えること
その考えをまとめたのが、理念である「森から子供の笑顔まで」です。
それでは、その言葉の理由と意味を解説いたします。
木薫ってどんな会社?なにしてるの?と聞かれたとき、國里社長は「林業屋」と答えます。
なので、まずは林業について考えてみましょう。
日本は70%が森林です。
あなたは、日本の森のこと、日本の木のことをどのくらい知っていますか?
学校では森林破壊や植林の大切さを学びますが、それは主に世界の国のお話。
逆に、現在の日本では木が多すぎるため、適切に切り出していかないと森が弱くなってしまいます。
では、なぜ木が多くなってしまったのでしょうか?
木を切ることって実は大事
ほんの50年前は、家も、家具も、燃料も、身近な道具だって木から作られたものがまだ多かったと思います。
技術が発展するとともにプラスチックや石油、スチールなどの便利な素材が普及し、だんだんと木材が使われなくなりました。
すると、使わないものを作っても儲からないので、やがて木が切り出されなくなりました。
一見、木を切らないから環境が良くなったと思いがちですが、現実は違いました。
森の木は放置されていても成長するため、枝葉が増えると重なり合った状態になります。
重なって影に隠れた葉っぱは日光が十分に当たらないため光合成がしにくくなり、弱くて細い木ばかりになってしまいます。
弱くて細い木は、いざ家や家具に使おうと思っても、立派な柱や綺麗な板としてはあまり使えません。
こうしたデフレのような悪循環が、今の日本の森では起こっています。
森の木には想いが込められている
木薫の本社は岡山県西粟倉村にあります。
村の木々は、戦後、村民がひとつひとつ植林したものです。
今は戦後76年ですから、植林をした人たちは私たちのおじいさんとおばあさんにあたります。
まだ林業用の作業道が少なかった時代、急勾配の斜面を一生懸命のぼりながら植えていきました。
昔は背の高い木も少なく、日影がなくて暑かったり、山風が直接当たって寒かったりしたことでしょう。
そうして一生懸命植林した村内の人工林が、今は46.81㎢もの広大な森になっています。
面積的には岡山市中区(51.24㎢)よりも少し小さいくらいです。
國里社長は幼いころから、木々のことをこう教えられてきたそうです。
「この木が大きくなったら切り出して、家をたてればいい」
「丸太を売ったお金で必要な物を買えばいい」
そうです。先人たちは、自分のためではなく、子どもや孫のために木を植えていたのでした。
さらには、山を受け継いだほかの山主(山の所有者)さんからも、「子や孫に山を残そう」という気持ちをビシバシ感じていました。
苦労をした先人たち、山主さんの想いをないがしろにはできない。無駄にしちゃいけない。
そう思った國里社長は、受け継いだ森をちゃんと未来へ残すために管理しようと考えました。
つまり、木を切り出して森を管理することは、森にとって必要な仕事であるとともに、木々に込められた想いを受け継ぐことでもあるのです。
けれど、職業の選択肢が増えた今の時代、林業を家業として受け継ぐ人も少なくなりました。
就職活動をする年齢になって「森に関係する仕事につきたい」「林業をしたい」と考える人は果たしてどのくらいいるでしょうか?
子どもたちに木に触れてもらいたい
ここでひとつ、國里社長がまだ木薫を立ち上げる前のころのエピソードがあります。
國里社長はある日、ヒノキのつみきを大阪の保育園に納品しに行きました。
箱いっぱいのつみきを保育室に置いたとき、ヒノキの良い薫りが広がりました。
そのとき、ひとりのお子さんが「これニセモンや!」と言ったそうです。
子どもながらに、普段嗅ぐ芳香剤の香り=ホンモノ、木の香り=ニセモノという図式ができたのかもしれません。
本当の木の香りを知らない人にとっては、芳香剤の香りこそがホンモノだと思ってしまうのもしょうがないことです。
芳香剤自体はとても便利なもので、最近ではホンモノの木の香りそっくりの商品も出ています。
しかし、普段嗅ぐ香りが木の香りだと知らないままでは、森に関わりたいと思うでしょうか?
「自分には関係のないこと」と言われて、見向きもされないかもしれません。
普段使っている水道水も、魚が育つ海の水も、食卓に並ぶ山菜も、さらに言えば雨や雪が降ったとき山が崩れないのも、森の木・植物・土のおかげです。
それなのに、先代が残してくれた財産である森を放置してしまうのは、すごくもったいないです。
だから木薫は、子供のための家具・遊具をつくっています。
幼いころから本物の木が身近にあることで、少なくとも木の香りをニセモノと思うことはなくなるでしょう。
受け継いだ森を守りながら、
未来へ残していくために、子どもたちへ伝える。
それが、「森から子供の笑顔まで」という言葉の意味です。
林業について詳しくはこちら→林業への想い