2021年5月10日
日本の森林には、建物や家具に使える木がたくさんあります。
しかし日本の「国産材」はあまり使われておらず、木材自給率は32%と低いです。
こんなに低い理由はなぜでしょうか?
その謎を解明するためには、「木材の使われ方」「利用できる木」「木の種類」の3つがヒントになります。
木材の使われ方
まずは、日本国内で木材がなにに使われているのか見てみましょう。
●30%ある建物・家具では、国や市町村の依頼でどんどん国産材を使うようになってきています。
しかし、まだ半分ほどしか国産材を使えていません。これから増えていくことを期待しましょう。
●紙・ティッシュ・トイレットペーパーなどが44%で、もっとも多いです。
全体的に見ても外材の割合が多いので、そのぶん自給率が低くなっていると考えられます。
では、紙を作るために日本の木は使えないのでしょうか?
利用できる木と、木の種類
つぎに、日本の森林について見てみましょう。
●国土の66%は森林です。
●森林のうち40%にあたる「人工林(じんこうりん)」だけが木を切り出して利用できます。
人工林は木を作るための森林、天然林は自然のままの森林です。
●人工林は95%がスギ、ヒノキ、マツなどの針葉樹です。
針葉樹はまっすぐで軽く、加工がしやすいため建物、家具などに使われます。
広葉樹は強度が強い木が多いためフローリング材、紙、木炭などに使われます。
このように、使う木材は広葉樹が多いけれど、日本の人工林には針葉樹が多いという結果になりました。
木を育てる人は針葉樹を育て、木を使う人は広葉樹が欲しい。その違いがあるために、木材自給率が低くなっているようです。
しかし針葉樹も、建物や家具しか作れないわけではありません。
実は、フローリング材も、紙も、木炭も、なんでも作ることができます。
せっかく使える木があるのですから、ぜひ国産材を使いましょう。
そして、もっと木材自給率をあげるためには、国産材が使われている商品を選ぶことが大切です。
身近にある箸やお皿、イスやテーブルなどにも国産材の商品があります。
国産材を選ぶ人が増えたためなのか、2010年からの10年間は、木材自給率が増加しています。
ひとつずつ意識して選ぶことで、やがて木材自給率100%になるかもしれませんね。
参考文献:
林野庁『令和元年度森林・林業白書』(2020)